平成29年11月3日 金曜日 りんどう (鷹ノ巣山)
防災と減災について
最近お客さんの事業所で労災事故が発生し、被災者救済のためいろいろな申請
依頼を受けることがあります。
労働基準監督署に提出する事故報告をはじめ、病院に提出する申請書、その他
いろいろなケースがあります。
出来るだけ早く依頼を受けて申請する方が、お客様をはじめ被災者にも有利です
とお話ししている関係で、早く依頼をして下さるようになりました。
神田事務所の考えは、基本的に労働災害を完全に 「 0 」 にすることは不可
能だから、事故が発生してしまったらその後の処置を適切にして、第2・第3の被害
から会社や同僚、その他関係者を守るように努力する必要があります。
というお話をさせていただいております。
その一例として最近したことは、工事関係者を集めていただき防災と減災の考え
方を説明させていただき、どうしてそうすることが、被災者と残った関係者に
有利になるのか ? 説明させていただきました。
このケースではお医者さんの適切な治療のおかげで、比較的早期に治療が終了
しそうなので喜んでおります。
書類を書くときの注意点、労働基準監督官に対しての注意点、その他発注関係
者に対する発言の注意点、すべてがうまく行くという保証はありませんが、私なり
に気づいたことを話しながら各種申請書を作成しました。
被災者の理解を得ながらお客様の不利にならないように、いろいろ対策を考えな
がら話していい部分と、必要としない部分とを選別することが重要です。
労災保険の減災とは ?
神田事務所では労災事故防止に力を入れる以上に、事故後の減災に力を入れて
取り組んでおります。
どうしてか ? 不思議に思われる人もおられましょうが、事故を防ぐ手立てがすべ
て成功すれば、事故は起こらなくなりますが、そういう方法ははっきり言ってないに等
しいのです。
事故が起こってからでは 「 遅い 」 皆さんこのように考えられるみたいですが、
それとか 「 起きたことはしかたがないだろう ? 」 とか言われておりますが、
それは逃げ口上で、事故後 「 どう対処すべきか ? 」 ここが大事なのです。
事故後の処理だけでいろいろな判断をされますから、事故報告の正確さも大事
ですが、必要な部分を丁寧に書き込む必要があります、そのうえ何か有利な部分
というか必要以上に強調すべき内容があるかどうかを確かめる必要があります。
そういうことを総合的に判断してから事故報告をした場合と、そうでない場合とで
は、相当な開きがあるということはわかっていただけると思います。
神田事務所では何度も言いますが、被災者だけでなく元請事業所・下請事業所
それにそれぞれの従業員、それらすべての関係者を守っていく必要があります。
いつもすべてに満足していただけるとは考えておりませんが、少なくとも、関係者
の多くが納得していただけるよう常に努力しております。
労災事故はいつまで治療が可能か ?
労災保険では、いつまで治療していいのか ? いつ治療を終了すべきか ?
いろいろなことで心配する人がおります。
正確に言いますと、治療しても良い期間は治療の効果がある期間です。すなわ
ち少しずつでも治っていると感じるならばいつまでも治療続けることができます。
もちろん治療しても効果があまりなくなってきたと感じたときは、症状固定と
いって、そこで治療は終了します。
私が経験した一番長い治療期間は 「 5年3ヶ月 」 です。もちろん月の半ば
での事故ですから、正確には5年3ヶ月と◯◯日ですが、このケースでは途中2
回ほど本人の申し出で、症状固定で障害手当を請求しようとしましたが、担当して
いるお医者さんから 「 治る見込みが少しだけあるから ? 」 ということで、そ
の後2回ほど手術をしました。
大変残念でしたが、治癒しないため症状固定となってしまいました。
これ以上長い治療期間の経験を私はしておりませんが、探せばあると思います。
症状固定として治療を終了した後、再発した場合はどうか ? と言いますと、私
が取り扱ったケースでは、労災年金を受給していた被災者から再度手術する必要が
あるということで、再度労災保険で治療しました。そのときは年金受給者ですから、
年金が止まり、治療期間は休業補償に変更になり、治療終了後再度年金の手続き
をしました。
労災保険では被災者に対して大変手厚くなっておりますから、そういう意味では心
配はいりません。治療に専念すれば大丈夫です。
不幸にして被災者となった場合に、 この事を知っているのと知らないのでは大きく
違いがでますから、事業主だけでなく、労働者も知っていてほしいものです。
但し、注意すべき事がひとつあります。
治療期間中のすべてが 「 休業補償 」 をもらえる、 という勘違いをしないように
して下さい。
治療と休業補償は関係あるようですが、治療は治療、休業補償は 「 認められる
期間のみ 」 となります。
労災保険の通勤災害
労災保険の通勤災害は基本的に業務災害と違い、事業主に責任がないというこ
とです。
そのため業務災害であるならば○○補償給付となるところが○○給付と 「 補償 」
の2文字がありません。
補償内容については、どちらもほとんど変わりませんが、 「 補償 」 の2文字が
ないということは、業務災害と比べた場合には、基本的に労働者にとって不利な部
分があります。
通勤災害と認められるか ? 認められないか ? 判断が難しい部分がありまし
たら、いち早く専門家に相談されることだと思います。
適切な申請書を書きませんと、もらえるものがもらえなくなる恐れがありますから、
微妙だと判断されるときは、早ければ早いほど良いと思います。
たとえば、通常と違う経路を利用している。 とか、 ちょっと立ち寄ったところがあ
るため業務を終了して事業所を出た時間とずれがある。 このような場合には、どう
対処すれば 「 ベター 」 か、専門家の意見が一番良いと思います。
通勤災害と考えられそうでも、一部には労働災害となるケースがありますから、注
意する必要があります。労働災害の場合には、死傷病報告が必要となります。
通勤災害で、相手のまたは自分の自動車保険を使用した場合とかは、労働基準
監督署と保険の適用について調整が必要になりますから、そういう場合には、監督
署と相談しながら示談をすることになります。注意して下さい。
後日忘れた頃、労働基準監督署から 「 求償 」 されるケースがたまにあります。
労災の死傷病報告
労災の死傷病報告について、注意すべき事を書いてみたいと思います。
労災の死傷病報告とは、すべて事故だけと判断すべきでなく、就業中の病気も
報告の対象になります。
注意すべきことは、労災の死傷病報告イコール 「 労災事故 」 と自分勝手に
判断すべきでなく、それが 「 労働中の事故 」 なのか 労働者がふだんから持
っていた 「 持病 」 なのか、そこの部分は 「 はっきりと医師 」 に確かめて
おく必要があります。
労災事故扱いなのか 「 病気扱い 」 なのかによって、事業主の受けるダメー
ジがずいぶん違うので、注意しておくことが肝心なのです。
もちろん、労災事故だとしたら、 「 過失はどうなるのか ? 」 も重要な要素に
なりますから、ひとつひとつ丁寧に調べてから、死傷病報告を提出することが重要
です。
労働基準監督署から催促がありますが、本人からの 「 事情 」 は確実に聞い
て、関係者からの聞き取り調査も必ず十分することが大事です。
被災者本人からの事情が聞けない場合には、 「 どう対処すべきか ? 」 は、
関係者と十分話し合いをしてから、作成するしか方法がありません。
大切なことは、 「 被災者だけでなく 」 「 多くの関係者を助ける 」 これが一
番大事な事です。
神田事務所ではいろいろなケースを扱っておりますから、相談していただければ、
きっと満足していただけると思います。
アスベスト災害
最近取り扱った特殊な事例としては、アスベスト災害です。
アスベスト災害の場合には、特に潜伏期間か長くて当時の資料を取り寄せるこ
とが困難な場合が多いです。
業務をしていた通算期間とかいろいろ複雑な用件がありますから、どうしても
労働基準監督署の指導を仰ぐことにはなりますが、そういった場合でも社会保険
労務士に相談した場合とそうでない場合の対応は、大変大きな違いが出てきます。
アスベスト災害のように特殊なケースでは、被災された労働者自身がまったく
知らないうちにだんだん症状が重くなり、どうも変だと気がついたときには、大
変重傷となるケースもあります。
アスベスト製品を長年取り扱った経験のある人は、定期的に検査するようにし
た方が良いと思われます。
労災事故後の病死
私はいままいで経験した 「 労働時間中の病死 」 は3回ありましたが、
今回初めて労災事故の被災者が不幸にして 「 持病でなくなる 病死 」 と
いうケースを経験しました。
労働時間中の病死に対しては 「 死傷病報告 」 を提出するようになりま
すので、3回内2回は私が作成しました。
1例目の相談だけのケースは、トイレに行きたいということでトイレに入った
のですが、同僚が 「 それにしても トイレ から出るのか遅い ? 」 と
不安がり、ドアを開けたところ 「 すでに 死亡 」 していたというケース
です。
2例目は私が書類を作成し報告したケースですが、車を止めていたところ
「自然に動き出した 」 ので運転手があわててドアを開けて飛び乗ったところ、
車はほんの7から8メートル先のどろの山で止まりましたが、本人は 「 心臓
麻痺 」 で、死亡したケースです。
警察官がその車を使用して実験したところ、動いた距離は7から8メートルで
スピードは20キロくらいと言われました。
3例目は、バックホーでダンプにどろを積み込みしていたオペレーターが、昼か
ら1回はスムーズに積み込みしましたが、2回目の積み込みのためダンプが帰
ってきたところ 「 オペレーター 」 が、そのまま前屈みになっていました。
不安に思ったダンプの運転手が声をかけたところ、すでに 「 死亡 」 してい
たというケースです。
これら3例は 「 勤務中の病死 」 ですから普通に 「 死傷病報告 」 を作
成することができましたが、今回は勤務中の事故後不幸にして持病による死亡と
いうケースでした。
こうなってしまうと 「 本人から直接事情 」 を聞くことができませんし、どれくら
いの期間で治癒するのか検討もつきません。
そこで管轄する労働基準監督署に相談したところ 「 通常であるならば治癒する
だろう 」 と考えられる期間を書くように指導を受けました。
「 その後の 病死 も書くのでしょうか ? 」 という私の質問に、
「 書く必要なし 」 ということでした。
勤務中の事故による 「 休業保証 」 は労災保険から支給されますが、その
ほかの死亡に関する補償は 「 すべて 健康保険 」 だけになってしまうのは、
私としては大変残念な気持ちになりました。
労災保険の補償内容と、健康保険の補償内容では、大きく違いますからあらた
めて 「 生命保険 」 の大切さも実感しました。
生命保険は自分で保険料を支払わなければなりませんが、不幸があったときを
考えると、入っておく必用があります。
ちなみに 「 労災事故後の被災者が 病死 」 した場合には、傷害保険では
「 入院または通院した期間のみしか支払いがなく 」 「 死亡 」 に関する支払
いはまったくありません。
傷害保険と生命保険の違いも理解しておく必用があります。
労災事故被災者の社会保険料
労働者が労災事故で負傷し治療期間中、まったく勤務できない状態の時、給料
計算をどうすべきか ? という相談を受けました。
もちろん勤務できない場合には、基本的に8割の休業補償を労災保険から受ける
ことが出来ます。
これについては大きな問題とはなりませんが、健康保険料・厚生年金保険料の本
人負担部分が毎月発生することが問題なのです。
この 「 本人負担 」 部分を、当然のごとく本人に請求できるのか ? 逆に
「 請求しなければならないのか ? 」 と、いう相談でした。
これは、 「 法律上 」 は、本人が負担すべきものです、が、「 神田事務所 」
としては、「 出来れば 会社負担 」 を、お願いしております。
理由は 「 本人が会社のためにしていた業務での事故 」 だからです。
ただし、本人負担分を会社が負担すると、給料の一部支払いとみなされることを
ご承知下さい。
今回の相談は詳しくは 「 通勤災害 」 でしたが、やはり出来るなら 「 会社
負担 」 をお願いしました。
もちろん 「 法律上は 会社が負担すべき条文 」 はありませんが、被災者のことを
考えると、これが 「 ベスト 」 だと、私は考えております。
逆に毎月給料から引いている 「 住民税 」 については、これは 「 会社負担 」
が出来ません。
これは、 「 本人から徴収 」 するしか方法がありません。
住民税を会社が負担すると、後から 「 問題が発生 」 する恐れがあるからです。
健康保険適用の病気・怪我の場合には、たとえ傷病手当金が低い場合であっても、本人
から徴収しなければなりません。
毎月の負担額が多いですけれど、会社は本人が負担している額以上を負担しているのだ
から、従業員さんには我慢してもらうしか方法がありません。
労災打切補償(労働基準法第81条)
労働基準法では、第81条に労災打ち切り補償の規定が設けられています。
長期療養中の被災者をどこまで事業所として補償すべきか ? を考えるとき参考にな
る規定です。
具体的には、平均賃金の1200日分を支払うことを条件に、療養開始から3年経過後に
解雇出来る、と定めてあります。
この規定は大変厳しいものがあるので、使用すべきかどうか慎重に検討する必要があり
ます。
私は、この規定を適用するときは最後の手段ですから、それ相応の覚悟を持つ必要があ
ると考えております。
この81条打ち切り補償を適用しますと、それ以後の補償がすべて免責となり、被災者に大
変厳しいことになります。
昭和28年4月8日基発第192号を見ますと、いったん打ち切り補償を支払えば、それ以後
の療養給付・休業給付はもちろんのこと、障害を残した場合の障害補償・死亡した場合の遺族
補償・葬祭料を支払うことはない。となっております。
ところが、最近の判例で次のようなものがあります。
打ち切り補償を支払っても、解雇は無効だとする判決です。
http://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2013_09/p38-40.pdf
http://www.roudou-kk.co.jp/jlc/archives/005849.html
東京高裁でも1審の判決が支持されています。
http://souchi.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-d76b.html
この東京地裁の判決には、 「 異常 」 だと感じる人が多数おられますし、これからま
すます解雇に対して世間の厳しい声が多くなり、逆に 「 労働者を不利 」 な立場に追い
やる可能性が高まる、と危険視されています。
打ち切り補償の1200日分を支払い、解雇された被災者は、その後 「 労災保険給付 」
はもらえないのか ? というと、一度労災保険で給付を受けている被災者は、たとえ解雇
されても、労災保険給付は続くことになります。
それ以後に障害と認定された場合は、一時金もしくは年金支給になります。
私の結論は、正しい考え方かどうかは別として、
「 打ち切り補償は なるべく行わない 」
ことが、事業所としてもベストだし、労働者にとってもベストだと思います。
最近(平成27年6月8日)最高裁判決で下記のようになりました。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG08HCG_Y5A600C1CR8000/
http://www.bengo4.com/roudou/1101/n_3276/
http://www.corporate-legal.jp/houmu_news1855/
この判決では、 「 労災打ち切り補償は 有効 」 とされましたが、
高裁に審議が不十分として差し戻しています。
今後の判決には注意していく必用があります。
交通事故相談
神田事務所が取り扱う業務の中で、最近交通事故での相談が少しずつ増えてきてお
りす。もちろん出来るのは被害者の相談だけです。加害者の相談は法律上出来ません。
その中でも出来るのは相談と後で書きます保険金請求だけですが、それでも被災者
納得できればそれで十分だと私は考えております。
基本的には弁護士先生に相談するのがベストですが、なぜか弁護士先生を最初
から毛嫌
れると思い
知ったうえで相談していただければ、満足していただけると思います。
いかない
交通事故の場合はそのほとんどが保険会社相手になりますから、自賠責保険・
対人賠償
も出て来る場合もあります。
考えは違いますが、できる限り 「 ベスト 」 だと言われるように、私は努力する
考
交通事故被災者にとって神田事務所を利用する最大のメリットは 「 保険金請求 」
だと思います。
被災者
れば神田事務所の存在価値があると思います。
直接相手には言いづらい、そうかといって 「 このままでは・・・・・・・・」 と
考える被災者にとっては頼りになると確信しております。
よく問題となるのは 「 過失割合 」 と 「 後遺障害等級 」 だと思います。
すから最も大事なことだと思います。
労災保険と自賠責保険では同じように等級が定めてありますが、同じようなケースでも
同じ等級とならないケースがあるそうです。この部分を直接私は請求したことがありませ
んので詳しく説明することは出来ませんが、全国では行政書士の仲間が請求しております
から、同じ仲間からの情報で知っております。
あります。
なぜ行政書士が 「 生命保険を請求 ? 」 と不思議がられるかもわかりませんが、
相続とかいろいろなケースで本人が直接 「 保険金請求 」 するより、簡単に終わら
たときびっくりして、 「 こんな金額恐ろしくて 受け取れるわけありません 」 と
拒否をして、「 直接 本人口座 」 に入金させました。
と拒否しております。
本人に代わって受け取りまで・・・・・・・と言われるお客さんは、責任を持って弁護
士先生を紹介いたします。
平成24年4月29日 鷹巣山の頂上にありました まむし草 です。